2023年11月後期 |8 YEARS / TAKAYUKI MATSUMINE 展

松嶺貴幸個展メインビジュアル EXHIBITION

11月25日(土)より、岩手県盛岡市在住の新進気鋭の美術家・松嶺貴幸(まつみねたかゆき)の個展「8 YEARS / TAKAYUKI MATSUMINE展」を開催いたします。

美しい自然に囲まれた岩手県雫石町生まれ。16歳の時にフリースタイルスキーの練習中に負った転倒事故により、頸椎を脱臼骨折、頸髄を損傷し、肩から下が動けない身体に。その後、アメリカに留学して培ったさまざまな経験や思考を生かし、帰国後はアーティストとしての活動を始動します。“自分はどう生きたいのか”という自問のなかで、できること・できないこととの現実にぶつかりながら、“ありのまま”で生きる力の強さ・美しさをアートを通して伝え続けています。

今回の展覧会では、松嶺貴幸がアーティストとして生きていく決意を固めてから過ごした8年間を振り返ります。何万光年も先にある宇宙の奥を想像しながら制作するBlast(爆発)Painting、そして未来の人間と自然の在り方を問うための新作「MIXED REALITY」シリーズを発表します。松嶺貴幸の過去と現在が交差する貴重な展覧会を是非お見逃しのないよう、お越しくださいませ。

松嶺貴幸プロフィール

ステートメント

松嶺は岩手県雫石町出身、同県に制作拠点を置き活動する作家です。本個展「8 YEARS」では、松嶺が作家として活動を始めてからの8年間に生まれた作品群の中から、代表的な作品を紹介します。

松嶺貴幸の作画スタイルに一環するテーマは「自然」です。その自然とは、いわゆる私たち人間を取り巻く外的環境としての自然を指す場合と、松嶺自身の内面に存在する自然体を意味することもあります。松嶺は岩手県雫石町という稀に豊かな自然環境に肌と心を溶け込ませ、多くの遊びと学びを得ました。人間が逆らう事に出来ない絶対的な力に毎日触れることで「自然への畏怖」は松嶺の身の末端にまで存分に染みこみました。

その松嶺の自然敬愛という精神的なアイデンティティを引き裂くような強烈な事件が起きます。16歳の当時、没頭していたフリースタイルスキーの事故によって頚椎を脱臼骨折、頸髄を損傷、肩から下が動かない身体になってしまいます。その事故からもたらされた毎日の壮絶体験は、松嶺にとって、内面的な自然・自然体について、そして自身の存在と環境的な自然との関係について、より強い気持ちで探求する機会になりました。ありのままでいることによる心の憩い、そしてそれが人に与える力を知ります。反して、理想の自分を追う事で、ありのままではいられないという強烈な葛藤も生まれました。そして松嶺はその二面性を作品制作のインスピレーションの根幹としながら「自然」から受けるインスピレーションを、時に素直にぶつかりながら続けてきました。

以下に松嶺の8年間の制作活動で生まれた3つのステートメントを紹介致します。

「Autpgraphical」
単純な生死についてではなく、今生きているこの引きずれた時間に強烈な推進力をもたらすべく制作している。自分自身の極めて死に近い体験とその後の日々の体験から得た、ありのままの自分を表すことに取り組んできた。人の誰もが一度は、目の前が真っ暗に閉ざされるような体験をする。その瞬間は目の前の事象をどのように捉えたら良いものか分からないのが自然な事である。痛みや辛みが自身を強くする事はおおよそ分かっていても、それらを自ら望む人などいない。私も「あの事故が、あの日々があったから」という言葉は今だから言えることだ。今日のその強烈な痛みは、花を咲かせるための種である。痛いことも咲く事も自然な事なのだ。

「Blast Painting」
エネルギーの定義は広い。私は生まれるというエネルギーと、生きるというエネルギーについて表すことにした。SUPERNOVA/超新星爆発という宇宙の現象からインスピレーションを得た。新しく生まれるためには木っ端みじんに爆発し、死ななければならない。私たち人間の根源である自然の摂理である。生むとか、始めるとか、殻をやぶるとか、生きるとか、そういう人間の美しく醜いエネルギーの跡をキャンバスの上に残したいと思う。ジャクソン・ポロックのオールオーバーなドリッピングを、私は爆薬のエネルギーで表す。

「MIXED REALITY」
ありのままの自分が嫌いな人には格好の時代が訪れようとしている。もっとスタイルが良く、性別も今とは逆で、種さえも違えば新しい私として飛び立てるかもしれないのに。花には水を与える必要もなく、ただ景観色として美しい。空の色も私たち人間のスイッチ一つで変えられる。人間のそういった縦横無尽な理想は自然を創りし神を超えたがっている。デジタルテクノロジーが歪んだ形でその理想を叶えてくれる。人はデジタルの世界でアバター(義体)を手に入れ、不自然な自然の中で、個人に都合の良いアルコリズムによって齎されるドーパミンを浴び続ける。私は個人的には、本当の自然に回帰しようと言いたいし、一方で、テクノロジーの恩恵によって自分自身の今日の命や暮らしが保たれている事も承知している。私たちの理想は所詮デジタルでできた幻想、されど新しい世界である。

展示作品一部

松嶺貴幸展示作品1
《Wabi-Sabi Flower Arrangement / Pink》
H400mm×W300mm×D300mm
樹脂、ウレタン塗料  2022年
松嶺貴幸展示作品2
《The flower has bloomed ‘cuz the neck was broken》
H1,600mm×W2,000mm× D60mm
アクリル、ウッドキャンバス 2015年
松嶺貴幸展示作品3
《The Other Side of Black Hole》
H600mm×W600mm×D60mm
アクリル、ウッドキャンバス 2022年

松嶺貴幸個展「8 YEARS / TAKAYUKI MATSUMINE 展」会期情報

展示期間:2023年11月25日(土)〜12月15日(金)
時間:12:00〜19:00(最終受付18:00)
休廊日:日曜(会期初週の11/26は開廊)
※都合により急遽休廊する場合があります。その際は公式Instagramにてお知らせいたします。
料金:入場無料
場所:〒984-0015宮城県仙台市若林区卸町2-5-7 
℡022-353-7677
※本会期より事前予約は不要となります。到着いたしましたら、建物入り口の「ギャラリーエイト」専用インターホンを押してお待ちくださいませ。
引き続き事前予約も受け付けておりますので、本サイトの「RESERVE/予約」からのWEB予約か電話022-353-7677までご連絡ください。

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